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シナリオ☆おひとり雑技団

過去のシナリオ置き場です。無断転載はお断りしています。感想などはどんどん受付けています。

20枚シナリオ『憎しみ』

『ママ友です、こんにちは』

 

☆人物
小暮 カンナ(35)専業主婦
加藤 芙美(36)専業主婦
小暮 竜次(29)カンナの夫
加藤 繁明(40)芙美の夫
小暮 リサ(3)カンナの娘
加藤 蒼穹(3)芙美の息子 


○公園
   数組の親子が各々砂場や滑り台で遊んでいる。
   砂場で砂遊びをしている小暮リサ(3)と、それを見守る小暮カンナ(3

   5)。
   そこに、加藤芙美(36)と加藤蒼穹(3)がやってくる。
   リサの元に蒼穹が駈け寄り、一緒に砂遊びをし始める。
芙美「…3歳くらいですか?」
   カンナ、隣に座った芙美のほうを見て、
カンナ「はい…そちらも?」
芙美「ええ…もう、言うこと聞かないんですよ…本当手がかかっちゃって」
カンナ「プチ反抗期…ですよね」

○小暮家・リビング
   リサと蒼穹が積み木で遊んでいる。
   ダイニングテーブルに向かい合って座っているカンナと芙美。
カンナ「男の子ってもっと乱暴なイメージがあったけど、蒼穹君は、かしこいね」
芙美「男の子なんだし、もっと元気よく走りまわってくれてもいいんだけど」
カンナ「加藤さんに似て、目元とか可愛いよね」
芙美「…え?そう?」
   リサと蒼穹、ぬいぐるみを引っ張り合い始める。
カンナ「リサ、貸してあげなさい」
リサ「リサのー、やーだー」
芙美「蒼穹!」
   芙美、蒼穹を抱きかかえ、蒼穹の尻を、平手でぴしっと叩く。
   カンナ、その様子を嫌そうに見ている。
カンナN「…何も…叩かなくても…」
 
○同・寝室(夜)
   布団の上でリサが眠っている。
   襖の隙間から、光が漏れている。
○同・リビング(夜)
   夕飯を食べている小暮竜次(29)と、コップにビールを注いでいるカンナ。
竜次「大丈夫?あんまり知らないママ友を家に入れたりして」
カンナ「何度も公園で会っているし大丈夫でしょ」
竜次「そっか。まあ、気をつけろよ」
カンナ「リサと同じ年の子がいて、蒼穹君って言うの。リサの良い遊び相手だよ」
   竜次の箸がとまる。
カンナ「(首をかしげながら」どうかした?」
竜次「…いや…そのママ友って…」
カンナ「そうそう。今晩どうかな?…排卵日が近くて」
竜次「…ああ…そうだっけ」
   竜次、席を立つ。
カンナ「どうしたの?」
竜次「…トイレ」
   竜次、リビングから出ていく。
   カンナ、小さい溜息をつき、机の上のスマホを手に取る。

   芙美からのメッセージが来ている。
   『今度、土曜日空いていたら、うちに来て、BBQしない?』
   カンナの返信。
   『いいね。旦那に聞いてみる』
   
○加藤家・庭
   BBQセットを囲む芙美とカンナ、竜次、加藤繁明(40)。
   リサと蒼穹は庭の隅っこで、三輪車に乗って遊んでいる。
竜次「素敵な御宅にご招待いただき光栄です。昼から肉にビールって…最高ですね」
カンナ「調子に乗って飲み過ぎないでよ」
加藤「いいんですよ。竜次さん、どんどん飲んでください。(芙美に)おい」
   芙美、竜次に缶ビールを手渡す。
竜次「…あ、ありがとうございます」
   芙美、カンナを見て、
芙美「カンナちゃんも、もっと食べて。あ、お肉追加しましょう。持ってくるわ」
カンナ「あ、私も手伝う」
芙美「いいの、いいの。ゆっくり食べてて」
竜次「あ…すいません、トイレってどちらですか?」
芙美「じゃあ、ご案内しますねー」
   芙美、竜次、家の中に。
加藤「リサちゃん、可愛いですね。私、娘が欲しくて仕方なかったので…普通は息子を喜ぶべきなんですけどね、跡取りにもなってくれるし」
カンナ「きっと立派なお医者さまになりますよ。蒼穹君、お行儀もいいですから」
加藤「…毎日仕事に忙しくて…芙美には二人目をせっつかれますが、なかなかね」
カンナ「二人目のタイミングって難しいですよね。うちは逆に男の子が欲しいって言われます。なかなか出来ないですけど」
加藤「男は単に種を植え付けるだけだから。気楽な生き物ですよね…ははは」
カンナ「それ、うちの人に言って下さいよ」

○加藤家・台所
   芙美、まな板の上の高級肉を木の棒で強く叩きつけている。
   目に鋭い光が宿っている。

○加藤家・庭
   竜次が戻って来る。
竜次「いやー失礼しました」
カンナ「今、あなたの話をしていたのよ」
竜次「え、こいつ何か変なことは?(カンナに)恥ずかしいこと言ってないよな?」
カンナ「こんな立派なおうちで、そんなことしないわよ」
加藤「…立派なんかじゃ、ありませんよ」
   加藤、悲しげに笑って、家の中へ。
   カンナ、首をかしげる。
カンナ「…私、変なこと言った?」
竜次「(憂鬱そうに)…いや…」

○バー(深夜)
   窓から一面の夜景が見える。
   肩の出たセクシーなワンピースを着て、カウンター席に座っている芙美。
近寄ってくる足音に気が付き、振り向いて、妖艶に笑う芙美。
芙美「…パパ、お疲れ様」

○公園
   リサが一人、滑り台をしている。
   ベンチに座りスマホを見ているカンナ。
カンナ「…約束、間違えたかなあ」
   芙美が蒼穹と手を繋いで、お腹を手で撫でながら、公園に現れる。
芙美「ごめんね、遅くなって」
   カンナ、芙美のお腹を見て、はっとする。
カンナ「…え?」

○小暮家・リビング(夜)
   缶チューハイを飲んでいる竜次。
   台所で洗い物をしているカンナ。
カンナ「芙美ちゃん、二人目だって。…なかなか出来ないって言ってたのに、裏切
られた気分」
竜次「…何か言ってた?」
カンナ「え?ううん。悪阻がひどくて、なかなか外に出られないって言ってたけど」 
竜次「…カンナ、ごめん!」
   竜次、床に土下座をする。
カンナ「…は?何やってんの?」

○喫茶店
   カンナ、下を向いて座っている。
   芙美がやってくる。
カンナ「ごめんね、体調はどう?」
芙美「だいぶ落ち着いたよ…」
カンナ「…せっかくの休日なのに、繁明さん、怒ってない?」
芙美「そんなので怒る人じゃないから」
カンナ「…じゃあ、夫じゃない男の子供を産もうとしてるって言ったら…?」
   カンナ、芙美を睨みつける。
   芙美、肩を振るわせ、笑い出す。
芙美「…いやだ、あの人、お喋りね」
カンナ「…浮気はできても、墓場まで持っていけないのよ…精神的に参ってる」
芙美「…だって、彼、私と別れるって言う
んだもん。安全日だって話して、中出しさせたら一発で妊娠しちゃった」
カンナ「…絶対許さない、繁明さんにバラしてやるから…家庭崩壊するがいいわ」
芙美「…そんなの、昔からよ」
   芙美、立ち上がり、カンナを見る。
芙美「私たち仮面夫婦だから…それに、蒼穹も私の子なんかじゃないし…昔の愛人の子よ…絶対産んでやるわ」
   立ち去ろうとする芙美に、掴みかかるカンナ、よろけた芙美の上に馬乗りにな

   る芙美。
芙美「…どけてよ!」
カンナ「(はっとして)…何を詰めてるのよ…こんな…」
   芙美、カンナを押しのけて、立ち上がる。
芙美「何で別れないのよ!バカじゃないの?別れなさいよ」
カンナ「…謝り通すから…愛しているから…許したのよ」
   芙美は下唇を噛みしめる。
   そして、上着から、腹に詰めていたクッションを取り出して、カンナに投げつ

   ける。
芙美「ふざけんな!!」
カンナ「(冷たく)…遊びは、遊びなのよ」
   芙美、床に崩れ落ちてもなお、カンナを強く睨み返す。