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シナリオ☆おひとり雑技団

過去のシナリオ置き場です。無断転載はお断りしています。感想などはどんどん受付けています。

20枚シナリオ 『男と女』

『 難関不落!絶食系男子』

         

★人物

東 夏帆(20)大学生

北上 将太(19)大学生

南条 志保美(20)大学生

西山 裕樹(28)フリーター

ハナ(9)

 

○駅前・個別教室・内(夕方)

   20畳ほどの一室の中に、ブースで仕

   切られている机に生徒とバイトの教師

   が座っている。

   東夏帆(20)は、ハナ(11)の解

   いた漢字テストの丸付けをしている。

夏帆「はい、ばっちりでした」

ハナ「(ちらっと夏帆を見て)東先生」

夏帆「何ですか?」

ハナ「で、初体験はいつ?」

夏帆「ええ?!」

ハナ「(ため息)なんだ、経験なしかあ」

   夏帆固まっている。ハナはぺこっと礼

   して、部屋を出て行く。北上将太(1

   9)が隣のブースから顔を覗かせる。

将太「大きな声出して、どうしたの」

夏帆「な、何でもないです」

 

○同・同・休憩室(夜)

   夏帆、西山裕樹(28)がコンビニの

   袋を開け、飲み物や食べ物を出す。

   裕樹は鞄から、公認会計士の試験対策

   の本を取り出し、ページを開く。

裕樹「(苦笑しながら)東先生、からかわれ

 たんだね」

夏帆「はあ……授業も本当に聞いてるのか分

 からないですし」

裕樹「俺みたいな顔面岩みたいな男には聞き

 にくいんじゃない、俺の生徒たち、雑談一

 つしないよ、ははは」

夏帆「どっちがいいんでしょうかね」

   将太が部屋に入ってくる。夏帆、顔を

   あげて、笑顔になる。

将太「お疲れ様でーす」

夏帆・裕樹「お疲れ様です」

将太「なに、なに、二人いい感じじゃない? 

 でも、ここ、職場恋愛禁止っ」

夏帆「全然全然全然そんなんじゃ」

裕樹「俺と東先生じゃ、釣り合い取れないよ。

 くっつくなら、東先生と北上先生だよ」

夏帆「(赤面して)え?!」

将太「俺は恋愛案件はパスだな。勉強とバイ

 トと趣味で、いっぱいいっぱい、だしね」

   夏帆、笑顔のまま、固まっている。

裕樹「北上先生の顔なら、女子がわんさか寄

 ってくるのにね。需要と供給が合わない」

将太「彼女いらないキャラで固定してるし」

裕樹「でも、好きな人ができたら、もし、で

 きたとしたら、その主義も変わる?」

将太「いや。恋愛なしの人生が楽しいし」

   夏帆、パックのジュースを一気に飲み

   干して、顔を机に伏せる。

 

○学生マンション・外観(深夜)

 

○同・夏帆と志保美の部屋(深夜)

   ドレス姿の南条志保美(20)が玄関

   のドアを開けて、ダルそうにピンヒー

   ルの靴を脱ぎ捨て、台所に向かう。

   冷蔵庫のドアを開けて、ペットボトル

   の水を取り出し、冷蔵庫のドアを閉め

   ると、そこに夏帆が立っている。ひっ

   と悲鳴をあげる志保美。

志保美「貞子もビックリだわ!」

夏帆「ねえ、絶望的なの、聞いてよぉ」

志保美「わーった。シャワー浴びて、メイク 

 落としたらね。10分待て」

   × × ×

   10畳ほどのワンルームの真ん中、ラ

   グの上で、チューハイを飲んで話して

   いる夏帆と志保美。

志保美「そういう男はね、絶食系っていって

 ね、間違っても、うちの店には来ないタイ

 プ。女っ気も、からきしないのよねえ」

夏帆「じ、じゃ、ホモってこと?」

志保美「モーホーでもないから厄介なのよ

 ね。ルックスも悪くないし女子にも優し

 い。でも、恋愛関係には絶対なれないの」

夏帆「それって諦めろってこと?」

志保美「ちょい待て。腰掛けキャバでも指

 名一番取ってるレナちゃんが(人差し指で

 自分を指差して)目に入らぬか?」

夏帆「先生、師匠、大統領、総長~」

志保美「大体さ、夏帆、元彼いつよ?」

夏帆「中学校三年の時、初恋でね、吹奏楽

 の先輩で……」

志保美「まさかの?」

夏帆「健全にキスまで(照れる)」

志保美「ズコー!! って、おい」

   志保美、夏帆の肩を叩いて、

志保美「諦めよ? 男なら何億といるし」

   夏帆、立ち上がり、去ろうとする志保

   美の足にしがみつく。

夏帆「何でもするーー何でもするからー」

   志保美、振り返り、にたりと笑う。

志保美「何でも?」

 

ガールズバー・カウンター内(夜)

   胸元の開いた制服姿の夏帆がもじもじ

   している。隣に立つ志保美、夏帆の背

   中をばしっと叩く。

志保美「北上将太が難関不落な大阪城とした

 ら、ここに来る客なんて、小さな平城よ」

夏帆「無駄に歴女。例えがわかんない」

志保美「とりあえず、男の扱いに慣れよう」

   店に若い男性の二人連れが入ってくる。

志保美「こんばんはー(営業スマイル)」

夏帆「志保美~、やっぱり無理だよ」

志保美「とりあえず、話し聞いてればいい

 の。ニコニコしてな! 女は愛嬌」

 

○駅前・個別教室・内(夕方)

   ブースの中で、つけまつげの付いた夏

   帆がハナの授業をしている。

夏帆「次はこれ解いてください」

ハナ「先生、男できた?」

夏帆「こら、授業と関係ない話しないの」

ハナ「露骨なんだもん。つけまとか」

夏帆「見た目から頑張ろうと思って」

ハナ「分かってないな。男ってナチュラル

 可愛いのが好きなの。つけま、ダメ。あ

 と、カラコンもダメ。男はひくの」

夏帆「ハナちゃん、色々知ってるのね」

ハナ「お姉ちゃんが婚活で苦労してるから」

   ハナと夏帆の後ろを、将太と男子生徒

   が通る。将太、ハナに声をかける。

将太「ハナちゃん、調子どう?」

ハナ「(ぶりっこに)東先生が分かりやすく

 指導してくださるんで、いい感じです」

将太「さすが、東先生」

   将太、夏帆の肩をとんと叩いて、立ち

   去る。夏帆、赤面している。

ハナ「(夏帆を見て)へえ~」

 

○通行路(夜)

   夏帆と裕樹が肩を並べて歩いている。

裕樹「北上先生の趣味は全部知ってるよ」

夏帆「え? 自転車とボルダリングと」

裕樹「カメラと料理と読書と陶器作りと」

夏帆「私の入り込む隙なんて……」

裕樹「頑張ってるのにね、俺、今日の東先生

 の服とかメイクの感じとか好きだよ」

夏帆「あ、ありがとうございます」

裕樹「じゃ、俺と東先生と北上先生の3人

 で、なら。バイトない時誘ってみようか」

夏帆「でも、先生、勉強が大変なんじゃ」

裕樹「いいの、俺のことは」

   裕樹の横顔をそっと見つめる夏帆

 

○横浜・鶴見川サイクリングロード

   サイクリングウェアに身を包み、レン

   タル自転車に跨る夏帆、裕樹、将太。

将太「(笑顔で)サイクル仲間が増えて嬉し

 いな。言ってくれたら前から誘ったよ」

裕樹「勉強ばっかでも身体がなまるしね」

夏帆「天気もよくて良かったね」

   将太が先頭を走り、裕樹、夏帆が続く。

   × × ×

   路肩に自転車を停めて、田園風景を眺

   めながら、道の端に座っている将太、

   裕樹、夏帆

裕樹「あ、飲み物持ってくるの忘れたわ」

将太「自動販売機ちょっと前にあったよ。皆

 で戻ろうか」

裕樹「いいよ。ちょっと行ってくる」

   裕樹、サイクルにまたがり、走り去る。

   夏帆、裕樹のほうを振り返ってみる。

将太「こういうのいいよな。男も女も関係な

 くさ。男と女の友情って成り立つって俺は

 思ってるんだけど、東先生はどう?」

夏帆「わ、私は……相手によるかな」

将太「趣味も合うし、東先生とはもっと仲良

 くなれそうだな」

夏帆「その友情の延長には、別の感情とか、

 沸いてきたりするのかな……私、いつか、

 北上先生と、その……」

将太「(夏帆の口を手で押さえて)ストッ

 プ! せっかくいい感じに楽しいのに、

 そういうのダメって言ったじゃん」

   夏帆、うつむき、慌てて笑顔で、

夏帆「あ、嘘、嘘。撤回。友達がいいよ」

将太「なら、いいけど」

   自転車を押して歩いてきた裕樹が立ち

   止まり、将太と夏帆を見ている。

 

○駅前・個別教室・内(夕方)

   ブースの中にいる夏帆とハナ。つけま

   の夏帆をじっと見ているハナ。

ハナ「それ、男受け悪いって」

夏帆「これが可愛いって言ってくれるの、彼

 は。雑談はダメ。勉強しますよ」

ハナ「なーんだ、うまくいってるんだ」

   ×  ×  ×

   裕樹と女子生徒がハナと夏帆の後ろを

   通り過ぎる。裕樹と目を合わせる夏帆

裕樹「(こっそりと)後で」

夏帆「(こっそりと)うん」

   その後ろから、将太と男子生徒がつい

   てくる。将太、幸せそうな夏帆の横顔

   をじっと見つめている。

 

 

 

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