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シナリオ☆おひとり雑技団

過去のシナリオ置き場です。無断転載はお断りしています。感想などはどんどん受付けています。

20枚シナリオ 『裏切りの一瞬』

隠れ?ゲーマーなので書きました。

モデルはレベルファイブとかスクウェアエニックスですw

ゲームは2D派、ドラクエ4をこよなく愛していますwww(余談

 

「ペガサス・ソウル」

          

★人物

右京 つぐみ(29)ゲーム製作会社のクリ

          エイター

      (15)

麻生 宅人(43)同社の社長

石間 哲(43)同社の副社長

柄戸 あや(22)麻生の彼女

 

○商店街・おもちゃ屋・外観(夜)

   店の入り口から始まっている長蛇の列。

   ショーウィンドウに大きな文字で『ペ

   ガサス・ソウル待望の新作発売!』と

   書いてある。右京つぐみ(15)が白

   い息を吐きながら、列に並んでいる。

○株式会社レベル・スリー・自社ビル・外観

T・14年後

○同・同・廊下~社長室

   右京つぐみ(29)のスニーカーの足

   が床を勇ましく進んでいく。社長室の

   前で立ち止まり、ノックするつぐみ。

つぐみ「右京です。入室宜しいですか」

麻生の声「あいてるよ」

   つぐみ、部屋に入る。

○同・同・社長室

   広い部屋の隅にソファ、その周りには

   色々なゲーム機器が無造作に置いて

   ある。『ペガサス・ソウル』の勇者の

   キャラクターの実物大の像が部屋の隅

   に置かれ、鞄や帽子がかけられている。

   ソファにうつ伏せになり、スマホのゲ

   ームをしている麻生宅人(43)。

   仁王立ちしている、つぐみ。

つぐみ「ペガサス・ソウル10の開発を中止 

 って、どうしてなんですか? この5年間

 皆がどれだけ思いをこめて取り組んできた

 か、その思いは社長に伝わってなかったん

 ですか。納得のいく説明をお願いします」

麻生「(眠たげに)もう無理だろ。大手ゲー

 ムメーカーもスマホゲームにどんどん移行

 してる、家でゲーム機使ってプレイするの

 はもう時代遅れなんだよ」

つぐみ「昔からのファンがいます。私だって

 そうです。新作を心待ちにしてる人たちに

 何て言ったらいいんですか」

麻生「知るか。ペガソー9がこけて、ネット

 で叩かれまくったの忘れたか? 俺はもう

 懲りた」

つぐみ「ペガサス・ソウルがなくなったら私

 達はどうしたらいいんですか」

麻生「そういうのは石間に任せてる」

   つぐみ、下唇を噛み締めて、黙って、

   麻生に頭を下げて、部屋を出る。

○同・同・屋上

   煙草をふかしている石間哲(43)、

   隣で頬をふくらませているつぐみ。

石間「悪かった。経営が苦しいとはいえ、こ

 のタイミングでやめたこと、右京たちには

 悪いことをしたと思ってる。でも、社長が

 一番辛いと思うで。わしらにとってはペガ

 ソーは子供みたいなもんや。もがいても、

 もがいても、あんなブームはもう来ないや

 ろうしな。苦渋の選択やったんや」

つぐみ「副社長、ペガソー開発メンバーはこ

 れからどうしたら」

石間「他社のシェアが高い恋愛シミュレーシ

 ョンゲームに着手したいそうや」

つぐみ「ええ? うちがですか?」

石間「ペガソーに代わるヒット作が必要やっ

 て言ってな。社長のアイデアでは、ダン

 ョンと恋愛を結びつけたRPG? みたい

 なのがいいとか」

つぐみ「スマホの開発メンバーを増やさない

 と、ですね。私も勿論勉強しますが」

石間「せやねん。人件費抑えたいとこやけど、

 そこはコストかけてかなな」

つぐみ「副社長は嫌にならないんですか、社

 長に振り回されてばっかじゃないですか」

石間「麻生は攻め、わしは守り。凸凹コンビ

 がちょうどいいんや。あんまり悪く言うて

 やるな。焼肉おごるさかい」

つぐみ「メンバー全員で、ですか?」

石間「え……ま、まあ、ええわ」

   

○同・同・社長室~廊下(夜)

   部屋の隅、勇者の像の前に立っている

   麻生。右手を左の腰にやり、剣を抜く

   フリをして、ぼそぼそと呟く。

麻生「目覚めよ、ペガサス・ソウル! あく

 なき探究心を胸に、未知の世界へ」

   ドアが開き、柄戸 あや(22)が遠

   慮なく部屋に入ってくる。

あや「宅ちゃん、ご飯いこう」

麻生「(あげていた手をおろして)ああ」

あや「また、ペガソーごっこしてんの? い

 つまで少年なのよ。ねえ、お願いしてたゲ

 ーム、作れそうなの?」

麻生「あやちゃんのオーダーは社内調整中」

あや「早くプレイしたいなあ。イケボじゃな

 いと嫌よ、あたし」

麻生「俺という存在がいるくせに、二次元に

 も男が必要なのか? 贅沢ものめ」

あや「世の中のシングル女子のために、頑張

 ってよ。ね? あやのお願い」

麻生「なあ、そんなにペガソーはダメか? 

 周りの男友達とか、プレイしたことある奴

 いるだろ?」

あや「いない、いない。ゲーム機なんて持っ

 てないよ。ぜーんぶスマホで済むじゃん」

麻生「そうだよな」

   あや、麻生の腕に手をまわし、部屋の

   外へ連れ出す。

   廊下を歩いていく麻生、あや。それを

   こっそりと見送る石間。

○単身用アパート・外観(夜)

T・3ヵ月後

   ゲームのプレイ音。   

○つぐみの部屋(夜)

   暗い部屋の中、テレビに映る『ペガサ

   ス・ソウル3』のプレイ画面。勇者の

   キャラクターが草原を走っている。

   つぐみ、ゲーム機のコントローラーを

   床に置き、ため息をつく。

つぐみ「さあて、勉強すっか」

   つぐみ、床の上のスマホに手をのばし、

   他社の恋愛シミュレーションゲーム

   はじめる。

つぐみ「くっさい台詞、何よ、この髪型。

 男、みんな同じ顔じゃん。何なのよ!」

   スマホの画面に着信。石間から。

つぐみ「(電話に出て)どうしたんですか」

○バー(深夜)

   カウンター席に肩を並べて座る石間と

   つぐみ。

石間「開発、難航してるみたいやな」

つぐみ「恋愛なんて一切してこなかった集団で、毎日、萌え台詞とか、壁どん・床どん・顎くいについて研究してる段階で。社長にいくら急かされても、なかなかうまくいかないのが現状です」

石間「そうやろなって思ってて。わし、思うねんけど、うちのスタンスみたいなもの、簡単に変えてええんかなって」

つぐみ「スタンス?」

石間「わしらが作ってきたもんをさ、求めてくれるファンがおるやん。いくら恋愛ゲーが流行っているって言ったって、わしらも同じのを作らないとあかんのかいな」

つぐみ「副社長がそんな考えでいたなんて、

 ちょっと意外です。いつもクールだし」

石間「そういう立ち位置にならざるをえないやん、自然と。でも、俺、好きやねん。ペガソーのこと。守ってやりたいねん」

つぐみ「どうするつもりなんですか?」

石間「社長にやめてもらうしかない」

つぐみ「え?」

石間「それか、わしらで別の会社立ち上げて、そこでやりたいことやるか」

つぐみ「わし、ら?」

石間「右京、お前が俺には必要や」

   石間、つぐみの手を握り締める。

○株式会社レベル・スリー・自社ビル・オフ

 ィス

   パソコンに向かってタイピングしてい

   るつぐみ。壁に貼られた『ペガサス・

   ソウル』の販促用ポスターを見つめる。

   部屋に麻生が入ってくる。

麻生「右京、ちょっと」

   つぐみ、顔をあげる。

○同・社長室

   麻生がソファに座ってスマホの恋愛ゲ

   ームをプレイしている。その近くに立

   って、それを不安げに見ているつぐみ。

麻生「(顔をあげて)お前、まともに恋愛し 

 たことないだろ。ゲームのターゲット層

 に響かないわ。俺の彼女に昨日やらせた

 ら、けちょんけちょんだったぜ」

つぐみ「恋愛ですか……ですから、日々研

 究して、少しでも萌えを」

麻生「やっぱ、ペガソーメンバーには無理

 か。お前を担当から外そうと思ってる」

つぐみ「え……?」

   石間が部屋に入ってくる。

麻生「今、右京に開発中のゲームの担当を外

 れてもらう話をしたところだ」

石間「わし、もう、お前にはついていけへん。

 ペガソーメンバーには全員話をつけてある。

 今日かぎりで辞めさせてもらうわ」

麻生「急に何を言い出したかと思ったら」

つぐみ「社長、時代にあうゲームを作りたい

 なら、彼女にプロジェクトに入ってもらっ

 てください。彼女のためのゲームを作りた

 いなら好きにしたらいいじゃないですか」

麻生「おいおい、右京まで。ふざけるな」

   石間、部屋の隅の勇者の像の前に歩い

   ていく。像に手をやり、呟く。

石間「いつからやろう。夢を一緒に追いかけ

 てきたつもりが、全然違う未来を見るよう

 になってた。あくなき探究心はどこや」

麻生「……ふ、ふざけるな」