読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

シナリオ☆おひとり雑技団

過去のシナリオ置き場です。無断転載はお断りしています。感想などはどんどん受付けています。

長編シナリオ『極上イミテーション』 イントロダクション編

こんばんは^^

 

ここのブログに置いてあるシナリオはシナリオコンクールにひっかからなかったものとか雑多なものが多すぎるので、今後整理しようと思いつつ、いや、しかし、プロになったときにこれぞってネタはとっておくべきか?と悩みつつ、まだ結論がでていません。

 

読者の方、貴重なご意見をいただきありがとうございます。

 

とはいえ、公の場所なので、どう見られるかというところも意識しなくてはなと反省の極みです。

 

さて、話は変わりますが、

 

 

過去長編をまるっと載せると長いので、イントロダクション編で10Pだけ掲載してみます。(もしご興味あればお送りするので読んでください~><)

 

シナセンのS1グランプリ3次通過作品で、初めて書いた長編ものなのでト書きがめちゃくちゃですが、書きたいこと、やりたいことが明確にあった時期なので、初心に戻るつもりでそのまま掲載してあります、、、

 

*******************

 

『極上イミテーション』

あらすじ:平凡な専業主婦だった百合が近所の主婦友にそそのかされて出会い系を始めて、そこで某犯罪者を真似て、同様の詐欺まがいのことを始めてしまい……

 

※登場人物省略

 

○人気の多い繁華街

   黒いキャップを目深にかぶり、下を向きながら足早に歩く安田百合(38)。

   額には汗が浮かんでいる。

   道の途中で、百合は若い男性と肩がぶつかる。

若い男性「ぼーっとしてんなよ、おばさん!」

百合「!」

   若い男性は舌打ちをしながら百合の横を通り過ぎていく。百合はその姿には目も

   くれず、息を深く吸う。そして、肩から垂れ下がった鞄の紐を持ち、肩にかけ

   る。

   目の先に、△△銀行のATMがある。

   百合はゆっくりとATMに近づく。

   

○△△銀行のATM内

   震える手つきで機械の画面を操作する百合。鞄から通帳を取り出す。結婚する前

   の姓で『中田百合』と表紙に書いてある。

   機械に通帳を入れ、じっと待つ百合。鞄の携帯電話が鳴る。

   百合はびくっとし、携帯電話を取り出す。携帯の画面に、『福原裕二』と表示さ

   れている。

   百合は電話に出る。

百合「…もしもし」

福原(声)「百合さん、今、どこ?」

   福原裕二(35)が自分の職場の喫煙室で電話をかけている。

百合(声)「今、△△銀行のATMに来ているわ。」

   百合が携帯電話に手をあてて、小さい声で答える。

福原(声)「ぎりぎりになってごめんね。調理学校の授業料の支払い期限今日だったよ

 ね、間に合うかな?」

百合「ええ…裕二くんのおかげで」

   百合は額から流れる汗を甲でぬぐう。福原に聞こえないように静かに息を整え

   る。

   福原は背広の胸ポケットから百合の写真を出し、にやける。

福原「水くさいじゃないか。僕のお金は君のお金と思ってくれていいんだし。…早く会

  いたいな」

   百合は通帳が機械から出てきたのを取り出し、金額を確認する。そして、電話の

   向こうの福原に優しく話しかける。

百合「私もすぐに会いたいわ。…あなたが欲しい」

   記帳された通帳には、今日の日付で、55万と印字されている。

   百合はその数字をゆっくり見つめ、うっとりとした溜息をつく。

(タイトル「極上イミテーション」)

 

○安田宅・リビング(朝)

   髪の毛を後ろで無造作にたばね、寝間着姿にエプロンをした百合が朝ごはんを用

   意している。

   百合がテーブルの上に皿を並べていると、息子の一輝(12)がパジャマ姿のま

   ま、テーブルにつく。

一輝「あ!また目玉焼きが半熟になってなーい!」

百合「パパが半熟嫌いだから、つい」

一輝「一日の始まりがパサパサだとさ、しっくりこないんだよー」

   一輝はわざとらしく溜息をついて、目玉焼きをほうばる。

   夫の大地(40)も起きてくる。

大地「いっぱい食ってるかー」

   大地は一輝の頭をポンポン叩き、一輝の向いの席に座り、トーストにかじりつ

   く。百合は慌ててコーンスープを温める。

大地「牛乳たくさん飲めよ。モテる男の条件は背と年収が高いことだ。今から自分に投

 

 資しとけー」

一輝「なにそれ、パパはモテるっていう自慢?」

大地「お、俺はもうモテたってしょうがないだろう、ママがいるんだから。なっ」

   大地は百合を振り返り、笑う。百合は曖昧に笑ってみせる。

大地「ほんと感謝してもらいたいよ。今時専業主婦できる奥さんは少数派だぞ。なの

 に、働きたいだなんて頭がおかしいとしか思えないじゃないか。お前の姉さんだっ

 て、子育てしながら、ひいこら働いて苦労してるだろー?」

   一輝、百合のほうをチラっとみて、

一輝「僕の中学受験が落ち着いたら、ママのしたいようにさせてあげればいいじゃん」

百合「いいのよ。なんとなく言っただけだったから…」

   大地、百合の言葉を鼻で笑う。

大地「本当、お前は典型的なお気楽主婦だな」

   百合、黙って、大地から、顔をそむける。コーンスープをぐるぐるとかき混ぜな

   がら、下唇を噛む。

 

○安田宅・廊下

   百合が掃除機を一心不乱にかけている。遠くでインターフォンの鳴る音が聞こえ

   た気がして、掃除機をとめる。廊下から直接玄関に向かう。

   百合がドアを開けると、近所の主婦、加藤梓(35)が大きなボストンバッグを

   手から提げ、にこにこと立っている。

   百合は呆れながらも、梓を家にあげる。

百合「…いま、帰ってきたの?」

梓「うん。お土産、持ってきたよ。だって、百合さんに報告しないとデートしたって感

 じがしないんだものー」

  梓は媚びたように言い、はいっと百合にお土産を手渡す。百合は紙袋の中をすぐ覗

  き、どこに行ってきたかを確かめる。

百合「なぜ七味…」

梓「八幡屋磯五郎のやつ、うどんにかけたら超美味しいんだから」

百合「あがって。お茶いれる」

梓「はあーー、やっぱり泊りのデートは疲れるね!」

   梓がリビングに入ってきて、ソファにどかっと座る。

   百合は呑気な梓の様子をふっと笑いながら見てから、台所に行き、紅茶をいれ

   る。

   梓はリビングを見渡し、棚に飾ってある写真立てを眺める。

梓「旦那さん、相変わらず?」

百合「そんな簡単に変わらないでしょ」

   梓はソファから立りあがり、台所に立っている百合のそばまで歩いていく。

梓「自分は遊んでるのに奥さんには家にいろ、働くな!だなんて、横暴よ」

   百合はレモンを薄切りにしながら、梓に目をやる。

百合「背が高いことと年収が高いことがモテる秘訣!って息子に伝授する人だからね」

   梓はぷっと笑い、突っ込みをいれる。

梓「中身はどうでもいいのか!」

   百合は洒落たティーカップを棚から取り出し、黙々とお茶の支度をしている。梓

   はそれを黙って見ながら、おもむろに口を開く。

梓「百合さん、やろう」

百合「え、なにを」

梓「婚外恋愛よ!こ・ん・が・い!目には目を、歯には歯をよ。百合さんは知らないと

 思うけど、3丁目の枝原さんとこ、あそこもやってるから」

   百合は返事をせず、トレイに乗せた紅茶のセットをテーブルに運ぶ。

   梓は百合の後を追いかける。

梓「百合さん綺麗だし、全然いけるから」

百合「自分ができるからって人もできるだなんて思わないでよ。もう38よ?誰も相手

 

 になんかしてくれないわよ」

  梓、百合の両腕をがしっと掴み、百合を見つめる。

梓「百合さんが見ている世界は実はとても小さい世界…、それしか知らないから怖くて

 踏み出せないのかもしれないけど。私みたいに、本当に愛すべき人に愛されることだ

 ってあるんだから!」

   百合はゆっくり首を振り、笑う。

百合「小さいけど…これが私のすべてよ」

   百合はソファに腰かけ、紅茶を一口飲む。

   梓は不満そうに口をとがらせる。そして、テレビのリモコンを勝手に操作し、ワ

   イドショーをつける。

   ワイドショーでは連続殺人犯である水嶋早苗容疑者の裁判について報道をしてい

   る。

梓「あちゃー死刑だな、こりゃ」

百合「5人だっけ?未遂もかなりいるって」 

梓「それにしても、水嶋早苗のアルバム写真やばくない、私が男だったら…この顔、抱

 けないんだけど」

百合「…どうやって騙してたんだろうね…」

   梓、時計をみて、はっと思い出したようにチャンネルを変える。韓国ドラマが流

  れる。

梓「百合さん、『僕たちの旅』見よう、ほんと良いから!」

百合「勝手に変えておいて、よく言うわよ…」

   百合、台所にお茶請けのお菓子を取りに向かう。さっき見た報道が気になり、カ

   ウンターキッチンに置いてある付箋に『水嶋早苗』とメモする。